2次元の誘電体

 
次に示すのは2枚の金属板の間に誘電体が配置された平行板コンデンサの断面図です。上側の金属板には104Vの電位がかけられており、誘電体の比誘電率は7.0であるとします。周囲の境界は絶縁状態に置かれているとしたときの電場の様子をFlexPDEで解析してみます。

電束密度ベクトルをDとしたとき、電場を支配する方程式は

で与えられることになります。なお誘電率は誘電体の中と外によって異なるため、微分演算子の中に置いたままの形で方程式を定義することになります。FlexPDEによる計算結果の一部を紹介すると次のようになります。

(1) メッシュ構成

FlexPDEによって自動生成される有限要素法メッシュは金属板の両端部分で非常に細かなものとなっています。これはその部分で電場の変化が激しく、演算精度を維持するために細分化が行われたことによるものです。

(2) 等電位線プロット

等電位線、すなわち電位Uに関する等高線図をプロットすると次のようになります。右側のバーの部分にScale = E4という表示がある点に注意してください。なお、周囲の境界は絶縁壁なので、等電位線はすべて直交する形となっています。

(3) |D|のプロット

電束密度ベクトルDの絶対値を誘電体部分に限定する形でプロットした色塗り等高線図です。内部ではほぼ均一な値となっていますが、左右端部分で値が変化している点に注意してください。

(4) Elevationプロット

次の図は電束ベクトルDのy成分であるDyの値を補助図面上の2点1,2間でプロットしたものです。この場合の関心事は曲線の形状ではなく、プロット下部に示されている-1.68e-6という線積分の値です。

外部境界を含めた形での周回積分を考えることにより、コンデンサの容量としてC = 1.68e-10という値が誘導されてきます。これに対し、平行板コンデンサについての理論式によってもたらされるCの値は1.55e-10となります。約10%の乖離があるわけですが、これは理論式が左右端における場の乱れを考慮していないことによるものであって、FlexPDEの演算誤差に起因するものではありません。


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