tb011  時系列演算子



Stataでは次の4種類の時系列演算子を使用することができます。

  L.  ラグ(lag)演算子(lag)
  F.  リード(lead)演算子
  D.  差分(difference)演算子
  S.  季節階差(seasonal difference)演算子

ただしデータはあらかじめtsset、あるいはxtsetされている必要があります。tssetについてはマニュアルエントリ [TS] tsset (mwp-002) を、xtsetについては [XT] xtset (mwp-010) をご参照ください。

ここではそれぞれの演算子の効果をExampleデータセットtssetxmpl.dtaを用いて確認して行くことにします。

. use http://www.stata-press.com/data/r15/tssetxmpl.dta

このデータセット中には次のような9件のデータが含まれています。

. list t income

最初に時間変数の定義を行うべくtssetを実行します。

. tsset t *1

*1 メニュー操作の場合には Statistics > Time series > Setup and utilities > Declare dataset to be time-series data と操作します。
   

(1) ラグ演算子

ラグ演算子の効果は次の例から自明と思います。L.またはL1.は1期前の変数値を、L2.は2期前の変数値を意味する演算子です。

. list t income L.income L2.income


 

(2) リード演算子

リード演算子の効果も自明でしょう。F.またはF1.は1期先の変数値を、F2.は2期先の変数値を意味する演算子です。

. list t income F.income F2.income


 

(3) 差分演算子

差分演算子の意味合いについては注意が必要です。変数をxとした場合、

D.x  = x[_n] - x[_n-1]

であることまでは良いでしょうが、

  D2.x = D.x[_n] - D.x[_n-1]
  = (x[_n] - x[_n-1]) - (x[_n-1] - x[_n-2])
  = x[_n] - 2*x[_n-1] + x[_n-2]

となる点に注意してください。D2.x は x[_n] - x[_n-2] ではないのです。この点を確認すべくdiff2という変数を添え字参照で生成してみます(tb010参照)。

. generate diff2 = income[_n] - 2*income[_n-1] + income[_n-2]
. list t income D.income D2.income diff2

D2.incomeとdiff2の内容が一致していることがわかります。
 

(4) 季節階差演算子

季節階差演算子の場合には話は単純で S2.x = x[_n] - x[_n-2] となります。

. generate sdiff2 = income[_n] - income[_n-2]
. list t income S.income S2.income sdiff2


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